無料ブログはココログ

« ヨーロッパの旅・8 | トップページ | ヨーロッパの旅・10 »

2006年6月 2日 (金)

ヨーロッパの旅・9

「だめだ・・・全然通じないよ・・・」
 加藤は受話器を持ったまま時子の方を向いた。となりでアドバイスしていた時子もどうしていいかわからなかった。
「どうしよう・・・」
 連絡もとれない。電車はどれに乗ればいいのか分からない。小さな駅の人々には英語も殆んど通じない。イタリア語もよく分からない。四人は何か手がかりを探しに駅の外へ出た。
「なんとかしなきゃ・・・」
 時子は頭の中で何度も何度も自分に言い聞かせた。・・・と、急に誰かがしゃがみこんだ。坂本だった。
「どうしたの??」
 青い顔をしている。時子は額に手をあててみた。熱がある!緊張と不安のせいだろうか。・・・あたりも暗くなってきた。
「駅に戻ろうよ・・・」
 風も冷たくなってきた。これ以上外にいたら全員が動けなくなってしまいそうだった。
 駅の待合室で椅子に座る。坂本の顔色はさっきよりもっと悪くなったように見える。ずっと頭を下げ、黙ったまま動かない。
「もう一度ホテルに電話してみようよ・・・」
 四人が皆と離れてから2時間が過ぎていた。他の仲間はもうホテルに着いているはずだ。とにかく誰かの部屋につながれば、あとはゆっくり状況を説明することができる。添乗員につながれば、その後どうすればいいか指示を出してくれるはずだ。・・・問題はそこまでつながるかだ。前例があるだけに不安だが、やってみなければわからない。
 又、受話器をとった。

« ヨーロッパの旅・8 | トップページ | ヨーロッパの旅・10 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ヨーロッパの旅・9:

« ヨーロッパの旅・8 | トップページ | ヨーロッパの旅・10 »